秘密戦隊とホームレス宇宙人
パソコンで事務処理をしているオーナーと話している磯貝は、いつもと変わらない様子だった。


「おはようございま~す」
と、言うと、オーナーと磯貝から返事が返ってきた。


「おはよー」

「オッス」

―ジジッ

タイムカードを押して、磯貝に話しかける。


「お前早いじゃん。どうしちゃったのー?」

「別に…。普通だろ」

「いや、普通じゃねーだろ。お前が早く来るなんて……」

磯貝との会話中にオーナーが入ってきた。


「昨日は大変だったわね!ご苦労様」

43歳のおじさんのオーナーは、肩を自分で揉みながらこっちを振り向いた。


「はい。大変でしたよ~」

「私も警察に防犯カメラのテープを渡したりで大変だったわよー。マスコミが来たりで、今日は疲れちゃった」

このオーナー、おじさんだが、口調が少し女性っぽいのだ。

…マスコミが来た?

確かにニュースに取り上げられるような事件だ。俺は気になったことを訊いた。


「もしかして……ニュースとかでテレビに映ったんですか?」



「あら、見てないの?バッチリ磯貝君の活躍が映ってたわよ」

「まぁ、顔はよくわかんないですけどねー」

磯貝が照れている。

待てよ、あの俺の能力がテレビに映ってたら、マズいんじゃないか?


「お…俺は…?」

「あー佐々木君はカメラからフレームアウトしてたから映ってなかったわ。残念ね」

ふぅ…良かった。映っていたら逆にマズいんだから。


「でも、相手が包丁を投げてきたのは危なかったわね」

包丁……投げてきたことになってるのか。俺がベルトに吸引したのに。


「いやーあれは危なかったです。間一髪です」

俺は苦笑いで返す。


「…でも、なんでヘルメットも投げたのかしら…?」

「な、なんでですかねー?なんか怒ってましたからねー。キレて投げちゃったんじゃないかなぁ」

俺は誤魔化すのに必死だった。
磯貝は、その時何も言わなかった。


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