秘密戦隊とホームレス宇宙人
―無事に家に帰ってきた俺の部屋のテーブルの上には、真っ黒なあのベルトがあった。

結局、買わされてしまった。


「…くそっ」

俺はなんて弱い人間なんだ。
と、悔やむばかり。

かといって、警察に通報する勇気もない。

本当にヤクザと繋がっているとは思わないが、通報した後で、何かされたら怖い。

俺の7万円は、悪徳商法に持っていかれた。

こんなベルトに7万円の価値があるなんて思えない。


その隣には、紺のバッグ。レンタルビデオ店のものだ。


そうだ、今日が返却日だから、返しに行かないと。


俺は溜まっていた映画を2本続けて見ると、内容があまり頭に入らないまま、返しに行くことにした。


駅前のレンタルショップに行くには、今日の昼間にキャッチに遭った、あの道を通らなければならない。

もう夜だし、いないだろう。

紺バッグをリュックに入れる。

ふと、横にある黒のベルトを見る。


「…しょうがねぇ。つけてみっか」


俺はベルトを付けて出かけることにした。


―ヴィン

装着した時に、腰に電気が走った気がした。

腰が軽くなる。


「お、やっぱりけっこういいベルトなんじゃね?」

こう言ってれば、少しは気が紛れる気がしたから。





そのまま家を出た俺は、次の瞬間、風になった。
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