秘密戦隊とホームレス宇宙人

「お先に失礼しまーす」

「はーい」

俺と磯貝は美沙ちゃんと交代し、オーナーと美沙ちゃんは帰ってしまった。

その日は平和で、そのまま普通に仕事が終わると思っていた。
しかし、磯貝と休憩を交代しようとした時に、再び事件が起こった。


「磯貝ー？休憩終わりだぞー？」

俺は事務所のドアをゆっくりと開けた。


「――お前…何やってんだ？」

磯貝が事務所の床の上にうずくまっていた。
磯貝は俺に気付くと、何かをお腹の下に隠した。

その時、俺はあいつが金庫から金でも盗んだんじゃないかと思った。


「おい…何隠したんだよ？見せろよ」


俺は磯貝に近付き、奴の腕を掴み、体で必死に隠しているものを見ようとした。


―ガバッ！

彼が隠していたのは、お金ではなく、俺の黒いガウベルトだった。


「お前、それは…俺の……」


磯貝は昨日の俺がやったことを間近で見ていたため、それで気になってベルトを見ていたのかと思った。しかし、次の瞬間、彼が言った言葉で違うと悟った。



「……ウ…ベル…ト」

「は？」

彼が何と呟いているのかよく聞こえなかったが、２回目でわかった。


「…ガウ…ベルト…」



！？



ガウベルト？今、確かにそう言った。

なぜ、磯貝はベルトの名前を知っているんだ？知っているはずがない。


「ベルト……届けなきゃ……」


そう言った磯貝の目は完全にどこかに逝ってしまっていた。

俺は磯貝からベルトを奪う。

しかし、奴もベルトを掴み返し、引っ張ってきた。

すごい力で簡単にベルトは奪われ、磯貝は事務所を出ようとした。


「おい！待てよ！」

俺が止めても、奴はそのまま逃げた。


「待てって！磯貝！」

奴が走って店の外へ出ようとしたとき、ちょうど入れ違いで店内に入ってきた客とぶつかりそうになった。いや、ぶつかった。


店内に入って来た女性の客はとっさに腕を真横に突き出し、磯貝の首にラリアットを食らわせたのだ。


―バシンッ！