秘密戦隊とホームレス宇宙人
「美人だったとか…?」

涼平の言葉は図星だった。軽く頷いてから、こう返す。


「話してみたら、すごくいい人だったんで、彼女は違うと思います」


「宇宙人でもな、地球人と見た目は変わらないんだ。どんな人間だって可能性はある」

ハカセはそう言うが、俺は違う気がする。
あんないい娘が、敵の訳がない。そうであって欲しい。



「クロちゃん。…どんな人が敵でも、私たちはベルトを奪い返すだけだから」

そう言った桃子さんの顔は、穏やかだった。

そうだ。

宇宙戦争をするわけじゃないんだ。

俺が吸引力高めて、ベルトを引っ張るだけ。ただそれだけのこと。


「まあ、考察はしなくても良いんだがな。ベルトを持つもの同士は、念じれば集まる。ベルトを奪い返す時になれば、敵は誰だかわかるからな」
と、ハカセが言った。


「俺、修行します!ハカセ、引っ張る力…鍛えさせて下さい!」

「うむ。任せとけ!」

「クロちゃん…」

その時、桃子さんが俺を見る目が、今までと少し変わった気がした。

気のせいだろうか。

ちょっと俺を認めてくれたような。

そんな気がした。




「クロさんカッコイイっすね!俺も修行して、クリームをばんばん出します!」
と、涼平が言った。


「あっはっは。じゃあ今日もデザート係だな」

「任して下さい!」


そして、


涼平がいると、この家は和むことに気付いた。
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