秘密戦隊とホームレス宇宙人

内藤の自転車を俺が持ち、一緒に歩いていると、内藤が俺に訊いてきた。


「…耕ちゃん…どうしちゃったのかな?」

「わからない…けど、磯貝が言ってることは、本当だと思う」


「洗脳されたってことですか?」


「…ああ。じゃなきゃ、磯貝があんな風になるわけないよ」


「……」

内藤は下を向いて歩く。


「信じてあげようぜ。あいつはいい奴だ。あいつが、今日みたいなことするわけないじゃん」


「…」

内藤は何も言わずに頷いた。


「別の人間に操作されてたとしか思えないよ。さっきので洗脳から解けた…だから、もう大丈夫だよ。きっと」


ガウベルトの秘密を話せない俺は、内藤にそう伝えることしか出来なかった。それが俺が出来る唯一の救いの手だと思ったから。


「付き合ってどれぐらいなの?」

俺の問いに、内藤は申し訳なさそうに答える。


「あ、付き合ってたこと…バイトのみんなにも言ってなかったんですけど…2ヶ月ぐらいです」


「2ヶ月の楽しい時期に…辛いなぁ」


「はい…」


「でもさ…、信じてあげて、許してやって欲しい。俺は磯貝とかれこれ1年半…ほとんど毎晩一緒にいるけど、あんなことする奴じゃないから」


内藤の家の前まで着き、玄関に入るまで、俺は見送った。


「思ったんだけど、お前…暗い顔似合わねーぞ」

「いいじゃないですか!」


「ハハ。じゃ、おやすみ」

「おやすみなさい」


暗い顔をしていた内藤が、最後だけ笑ってくれた。


一人でコンビニまで戻る夜道、俺の懺悔は続いていた。
磯貝がああなってしまったのも、俺のベルトに原因があるかもしれない。
磯貝と内藤の仲を壊してしまったかもしれない。
俺が……。


申し訳ない気持ちでいっぱいのまま、仕事に戻り、朝を迎えた。
磯貝はいつもの磯貝に戻り、仕事をこなしてくれた。

そして俺は、決意した。

二人をアジトに連れて行こうと。
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