秘密戦隊とホームレス宇宙人
俺の問いに、磯貝はゆっくりと、思い出しながら喋った。


「…コンビニ強盗を追いかけて行って、空き地で追い詰めたんだ。
そうしたら、そいつ……急にシャツを捲り上げて、俺にパープルの…骨盤矯正ベルトのようなものを見せてきたんだ」


「これに似てるやつか?」

俺は自分の腰のベルトを指差す。


「ああ。それに似てた。それを見た途端、身体が…動かなくなったんだ」

「動かなくなった?」

「ああ…。自由が利かなくなったというか…」

「で、その後どうなったの?」
と、桃子さんも身を乗り出す。


「…奴が自分で自分の鼻を殴って、さも殴られたかのようにして、コンビニの手前まで来たところで俺に命令したんだ?」


「なんて?」

「“俺を中まで引きずれ”って」


「それで、引きって入って来たのか?」


「…うん」

俺の頭の中に、はてなマークが浮かぶ。
犯人は自分が取り押さえられたように見せかけた?


「それで、捕まったんだっけ?」
と、桃子さんが言ったので、俺が答える。


「うん…俺が警察に通報して、そのまま奴は連行された…」


「警察に捕まってるなら、安心できますねー」
と、涼平が笑顔で言ったが、そうとは思わない。


「いや、おかしい。洗脳して、逃げられる状況だったのに、わざと捕まった」

ハカセがそう言った。俺はそれに同感だ。

「自分から捕まってますよね。…一体何故…?」

しばらく無言が続き、答えが出なかった。


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