秘密戦隊とホームレス宇宙人
「で、どうなのよ?」
と、桃子さんが俺に言った。


「え、あ、き…緊張する。初めてだから…」

俺は手にかいた汗を膝で拭いながら照れ笑いをすると、桃子さんはきつめにこう言う。

「違うわよ!本人なの?どうなの?」


「ほ、本人です。詩音ちゃん、覚えてる?」

俺がそう言うと、詩音ちゃんは頷いて、こう言った。


「あの時の…コンビニの人ですよね」

「そう!」
こんな幸の薄い俺の顔でも覚えててくれてたんだ。


「やっぱりー!あの時はありがとうございました」

「いえいえ。実は桃子ちゃんと知り合いでさ、遊びに来ちゃった」

「え?桃子と?すごい偶然ですねー」

「そうなんですよー!」

俺はまだお酒も入っていないのに、機嫌よく喋った。詩音ちゃんにまた会えたのが、なんだか嬉しかったんだ。

水割りをうすめに作ってもらい、しばらく楽しいひと時を過ごした後、桃子さんが話をこう切り出した。


「で、詩音に、聞きたいことがあって来たのよね」

「え?何ですかー?」


「その…この前の事件のことなんだけど…」
俺がそう言うと、詩音ちゃんは何かを察したように、真剣な顔になって頷いた。


「…警察に行ってから、どんな感じだったのかなーと思って」


「クロちゃん、もっとはっきり!」

桃子さんにそう言われ、俺は言い直した。


「その……あの犯人は、大人しく捕まったのかな?」


俺の問いに、詩音ちゃんは俺に顔をさらに近付けて、こう言ってきた。


「私も気になってたことがあるんです!」


「え?」

彼女はとても真剣な眼で俺を見ていた。


「あの時、先に犯人が警察に連行されて、私は別のパトカーが着くまで待って、それから警察に行きました。それで、パトカーの後部座席に乗っていたら、すれ違ったんです」


「すれ違った?」
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