秘密戦隊とホームレス宇宙人
「政府の奴らにですか?」


「ああ。ベルトで世界を救う有志を募って集まった人々の中で能力者を捜していたんだが、その中の誰かが、ガウデス王政に密告したんだろう。ベルトの情報がばれて奴らに追われた私と博士は、なんとか研究所へ逃げ帰り、ベルトを破壊しようと思った。

しかし、ベルトを破壊しても、従兄弟が奴らに捕まってしまえば、ガウデス王は同じものを博士に作らせるだろう。だから、このベルトで世界を、いや宇宙を救う人物を見つけようと思ったんだ。

そこで、安全な惑星に持っていくことを決めた」

俺の知らなかったベルトがここに来るまでの軌跡が、ちょっと信じられないような話が、そこにはあった。
そして、ハカセは俺にこう言ってきた。


「ワームホールって知ってるか?」


「ワームホール??」

俺は首を傾げる。


「宇宙の離れた地点を結ぶ通路のようなものだ。わかりやすくすると、そうだな…アニメでドアに入ったらどこでもワープ出来るといものがなかったか?」


「あ!はい!」

日本の有名なSFアニメを例にしてもらい、すぐに理解できた。


「ワームホールは私のいた惑星でも、生きて通過できる保障はなく、誰も近付かなかった。そもそも、宇宙船の所持は政府以外は認められてなかった。それを通過出来れば別の惑星に行けるかもしれないと思った私は、従兄弟が作って隠しておいた宇宙船で、それを通る決意をしたんだ。

“生きて帰ってこれるかわからんぞ”と、従兄弟に言われた。
しかし、私はこう返した。

“お前はここに残って欲しい。私が他の惑星へ行って、能力者を連れて帰れなかった場合、ガウデスを救えるのはお前しかいない”と。

私は宇宙へ出て、ワームホールを抜けた。

出た先は、ガウデスによく似た、青い惑星の前だった」


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