白薔薇と黒薔薇
「ほんとだわぁ〜、ふふっ、主が嬉しそうに笑うの久々だものねぇ、姫様?」
ナヤの隣に立つツインテールの可愛いらしいナギは、ニヤリと笑い黒夢を見る。
そんなに珍しい事なのかと思い、少し照れてしまう。
「白音さんが太陽のような方だからさ、暖かい人はそうはいないから……
黒夢だって、いつもより笑顔だよ。」
にっこり笑って黒夢の頭をぽんっと撫でた。
こうしてみると、普通の兄弟のよう。
とても闇に染まっているようには見えない。
冷たい光は、噴水からでる水しぶきを照らし、黒薔薇を不気味に照らす。
おそらく昼頃なのだろうが、まるで真夜中のように暗い。
「白音?寒いでしょ、兄様の部屋へ行きましょう。
いいでしょ兄様?」
少し震えている白音を見て、黒夢は黒夜に訪ねた。
「構わない。俺に話があったんだろう?なら行くか。」
「私とナヤは行きますねぇ、これで失礼します。訓練がありますから、
では、また姫様、主、白薔薇の姫君。」
ツインテールを揺らし、お辞儀をするナギ、その姿は幼い子供なのに、パープルホワイトの瞳は大人びていた。
覚悟を決めた瞳。
もう一人の少年ナヤも、お辞儀をすると、2人とも一瞬にして消えた。
瞬間移動だろうが、その消え方もまるで影のようだった。
「私たちも行きましょうか、イザベもそこで待たせてしまっているわ。」
「ぁあ!!雪子!!私も待たせっぱなしよ。」