白薔薇と黒薔薇
ガチャリと、ドアを開けて部屋へと入っる。
中はほんとうに家具の少ない質素な部屋。
けれど、とても大きな本棚には本がびっしり詰まっていた。
「あ、これは【魔法伝〜始まりの王〜】だわ。やはり黒薔薇の宮廷にもあるのね」
本棚を覗きこむ。
「私も兄様の本棚からそれを見たわ……
ページが途中で途切れていたでしょう?
でも変なのよね………
白音、その本をめくってみて。」
黒夢に言われ、ページをめくっていく。
○*○*○*
大昔のこと、
一人の人間の王が、
世界を統一した初代の王が、
一つの定理を唱えた。
この世界とは別の世界で、
魔法など、存在しないはずだった。
ありもしないものだった。
白と黒が混ざり合う世界だった。
禁忌とも呼べる方法を使って、王は魔法を生み出した。
賢き初代の王は、
白き力を司る白薔薇
黒き力を司る黒薔薇
を作った。
しかし王は何故、禁忌を犯したのか、
それは、
世界が壊れ始めたから
この別の世界は、この世界と反発しあっていた。
別の世界は壊れ行く運命だったのだ。
それを食い止めようと初代の王はこの世界とは違う方法で時代を切り開こうとした。
科学では無く魔法で、
壊れ行く世界をなんとか食い止めたかったのだ。
やってはならないのは世界の掟
闇と光を分け、神の領域に足を、踏み入れた。
王は言った。
これで一時的には救われるだろう。
けれど、これはやってはならない事
何が起こるか、また壊れ始めるかは
その時に生きているものが選ぶのだ
と………。
○*○*○*○