白薔薇と黒薔薇
「本が続いてる…………!」
「その本も途中までしか書かれていなかったの。
だけど、王宮から帰ってきて、
本を、開いたら、続きが書かれていたのよ。
どうやらその本には魔法がかかっていたみたいね。」
「そのものが真実を知ったとき、見えなかったものが見えるようになる魔法だ。
俺の場合、最初ほとんど見えなかった。
王の護衛をした時に、王に話を聞いてから、その本が見えるようになったんだ。
誰がかけた魔法かはわからないが、大昔の本だ。
とても強力な魔法がかけられているように思える。」
隣に立つ黒夜も腕を組みその本を見つめた。
真っ黒な髪に奥に赤い色を隠した黒い瞳。
本を見つめるその姿に、また胸がぐっとなるのを感じる。
ちらりと彼と目が合った。
先ほどからのこの気持ち
やはり
思い過ごしではないのなら
一目惚れ
「白音?どうかしたの?」
薄手のドレスがひらりと揺れて、黒夢が白音の肩を優しくたたいた。
「なん、なんでもないわ。少し考え込んでいただけよ。」
さっ、と本を閉じて、本棚にしまった。
「それで今日はこの前の話で来たのよね?」