白薔薇と黒薔薇
「えぇ………」
黒夢はこの前の王宮で話し合った内容を黒夜にも伝える。
しばらくぶりにゆっくり話をするらしくとても嬉しそうだった。
ただ、内容は王宮で話をしたように今の世界についてだが………
けれどその話さえ白音の耳には入らない。
気づいてしまった自分の気持ち。
黒夜の事が好きだという事実。
最初からそう思っていたのだけれど、認めてしまうと恥ずかしくて顔をあげられない。
あげて顔を見てしまえば、きっとばれてしまう。
何故彼を好きになった?
混ざり合ってはいけない相手、触れて関わる事すら前代未聞。
そんな彼に私は恋をしてしまった。
とんでもないことだ。
「白音…白……
白音さん!!」
「えっ?」
急に呼ばれて、顔をあげてしまう。
そこには、美しい整った顔立ちの黒夜。
意識してしまう。
「大丈夫ですか?ぼっとしていましたよ。」
「え、だ、大丈夫です。少し……考えていただけで………」
そういってにっこり微笑んだ。
何故こんなに俺は優しいのだろう?
変な気持ちになるのは何故?
目の前にいるのはパーティーで会った白薔薇の姫君。
可愛らしい顔立ちに金のような銀のような眩しい長い髪。
俺と同じ色の瞳。
王宮で会った時だってそうだ。
白音さんの笑顔を見ると、何故か胸が熱くなるのを感じるのだ。