白薔薇と黒薔薇
何故こんな形で
大切な家族が壊される?

ごめんねって?

黒夢は泣き崩れ、ナヤもナギもどうしたらいいか分からず、オロオロしている。

その瞳に不安をいっぱいのせて……


俺の力が強くなったのを感じて、また家族が減った事を実感する。


母様様が死んだ?

カアサマガシンダ?

ナゼコンナメニアワナケレバイケナイノカ。



頭が真っ白になる。その場でただ呆然とたつ。

神帝を殺す?

何故?

憎いからか、なら何故罪のない母様が?


泣き叫ぶ黒夢の声さえ聞こえないくらい闇に落ちる。


俺はどうしたらいいのか

ドウシタラ…………


















『私はその笑顔好きだよ。』











闇の中に一筋の光が差し込む。
ぁあ、どうしてまた思い出すのだろう。
闇を照らす眩しい光


彼女の笑顔


絶対に諦めない気持ち



そう、たとえ何かを、大切なものを無くしてでも、我らには使命があるのだ。

落ち着いて、今どうしたらいいか考えるのだ。


かつて最愛の兄を失っても強く生きようとした彼女のように。


母様は戻ってこない
黒夢をかばって亡くなった。

彼女もこんな悲しい気持ちになったのだろうか?

爆発によりぽっかりと空いてしまった穴

今だに爆発音が聞こえてくる。


そこから聞こえてくる、微かに爆発と混じる声


『殺せっ!殺せっ!皆殺しだっ!』

『神帝を殺せっ!』

『幸せのためだっ!』



まるで悪魔に脅されたように叫ぶ声が聞こえる
邪悪な闇に包まれた反乱者達

我らが使う黒とは違う、恐怖に染まる彼ら。
段々と近づくその声は、さらに恐ろしい気持ちを増幅させる。



「兄様…………?」


小さな声が俺を読んだ。
視線を合わせると、傷だらけの身体は少し回復していた。

どうやら、ナギが魔法をかけたようだった。
黒薔薇の騎士も一族も回復系の魔法はあまり得意ではないため、しっかりとは回復出来ない。

同じ瞳の大事な妹



彼女しか、もう家族はいない。



「すごい数の邪悪な闇が近づいている………

ここに向っているわ。

イザベ達も苦戦しているし………」


まっすぐと視線を合わせる黒夢。
その瞳は先ほどとは違い、真っ赤になっていた。


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