白薔薇と黒薔薇

「俺が……弱いばっかりに…………守れないどころか、

優白も、白百合も、俺を庇って………
俺が悪い、俺が殺したんだ………」

白百合の身体をギュっと抱きしめ大粒の涙を流す。


「父様は悪くないっ!」


父様は悪くなんかない、

では、誰が悪いの?


「誰も………悪くなんかないわ。白音………救って……」


弱々しい声、私の手を握って微笑む。
ダレモワルクナイ、

その言葉は一番聞きたかった言葉。
白音の大好きな人の枯れてしまった声からのもの。



消えてしまった命、




「彼らを助けなければ………」


堪えていた目から涙がこぼれて止まらない。
冷たくなった、もう握り返してくれない母の手を離し、立ち上がる。
また無くしてしまったと、
白き力は全て白音のものになってしまった。
真っ赤に光る白音の瞳。
誰のせいなど考えているより、今いる彼らを助けたい。

邪悪な力がもうそこまで近くに来ている。彼らがーーーすぐそばまで。
剣を取り出し構えた。



バリーーーンっ!!!!!



結界が破れた音がした。
ドタドタと足音が聞こえ、ろうそくで明るい地下に邪悪な空気が漂ってきた。


「殺してやる………」
「神帝………憎い。」
「貴族は、殺してやる。」
「そうだ。全員………」


闇に染まりきった声。
ろうそくで見える彼らの目はまるで獣

手には鉄の塊を握りしめている。


どうしてなの?
何故こんなことをするの?


問いかけても彼らには届かない。
闇に染まりきった彼らにはなにひとつーーー
もう、神帝だけでは無くなっている。
彼らの敵は目の前にいる相手なのだろう。


あっと言う間に大勢の人々が地下に降りてきた。


「白き力よ、我が身と、身内を守れ!」


剣をくるりと回し薄い幕を作った。
私が仲間を守る。


「我ら革命R、神帝は皆殺しにする。我らの幸せのために!」


凄まじい音がする。
鉄の玉が結界に激しくあたる。

後ろの兵も心配そうに白音を見ている

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