白薔薇と黒薔薇
☆私は………名の無いもの。
ここは銀色の湖。
ここは始まりの場所。☆
ふわっと湖が光を放った。
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まぶしくて目をつぶり、また開けた。
黒夜と白音は湖の隅に立っていた。
そこには湖のそばに男と、少女
そして、若い男性と女性の姿。
「ここは………」
☆今貴方達が見ているのは、この場所の過去ーーー。☆
また声がする。
過去の世界。
思わず、目の前の人々を見た、
男は金色の瞳を持った、あの中で一番オーラのある男。
もしかして、いや、おそらく、
あれは王様。
王族は金色の瞳を持って生まれてくるから。
隣には若い男女の姿
二人ともまっすぐ王様を見つめている。
「本当にすまない……………」
王様の声。その声は何処か悲しい。
「謝らないでマハード。私達はこれで幸せだもの。
世界の為に柱となれる。」
マハードとは王様の名前だろうけど、呼び捨てにするということは親しい仲。
「世界が壊れていく………天候が狂い、地震が起こり、人々が傷ついている。
王として世界を救うために、一番大切な仲間を生贄にするのか、
愛し合うお前達のこと………」
やはり、これは初代の王様。
マハードとは初代の王様の名前。
ということは、この過去というのは魔法が生み出された時のこと。
今まさに魔法の原点を見ようとしている。
「仕方ないだろう?
大事な柱なんだから、下手に信用のない奴を利用したって意味がない。
俺たちなら絶対に安心出来るだろう?」
マハードの肩に手を乗せてニカリと笑う。
「ありがとう。」
二人の優しい笑顔に背中を押されたのか、決心のついたようなマハード。
隣にいた少女を見つめ、うなづいた。
「荒れ狂う世界。壊れゆく世界。
人々が安全に暮らせる世界にするためにーーー。
我は禁忌を犯そう。
白き光の力
その力を持って世界をより良い道に導く力。
黒き闇の力
その力を持って人々を正しい選択へと導く!
人々に魔の力を宿らせ、荒れ狂う世界を救うのだ。
神々しか出来ないことを、我らで行う。」
「Umpire of God!!!!」
唱えるのと同時に男性と女性の周りにそれぞれ白い渦と黒い渦が集まり始めた。
少女は二人の真ん中に立ち、なにやら呪文のようなものを唱えている。
ただ、少女の姿は、先ほどからぼやけていて、よく見えないため、
少女が何をしているのかはわからなかった。