白薔薇と黒薔薇
「女は子供を産むから………
だから、結界より外には出てはいけない…危険だから………。」
白音は顔をあげて歯を食いしばる。
言いたい事があるような顔なのに、なにも言わない。
「今日はもう遅いわ、さぁ、寝ましょう。」
優しく白音の頭を撫でると、
おやすみといって、
パチンっ!
指を鳴らしてその場から消えた。
その場に白音だけが残る。
白薔薇の宮廷は真夜中だというのに、月明かりが眩しい。
窓から入る優しい明かりが、白音の金色のような、銀色のような髪を一層輝かせる。
パチンっ!
そして、玄関前には誰もいなくなった。