白薔薇と黒薔薇
「お兄様…………」
日の当たる大きな木の下にあるお墓を見つめる。
何処よりも明るい、美しい場所。
白薔薇の一族が眠る場所
「昨日は、何故だかよく分からなかったわ…
まだ、現実を受け止められていないのね私は…………」
昨日を思い出す。
沢山の白薔薇の兵士達、
出発した人数よりも明らかに減って帰ってきた。
純一は無事だったが、帰ってきてもまるで、抜け殻のように表情なくただ目を開けているだけ、
優白の亡骸も、白い棺桶に入って送られてきた。
「姫様………
それは、そんなことはありません。
こんな状況、誰だって混乱します。
姫様、貴方はとても強く優しいお方
貴方なら大丈夫だと、きっと優白様だって思われています。」
涙ぐみながら、白音の背をまっすぐ見つめる雪子