白薔薇と黒薔薇
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「ふぉっふぉ!急に驚きましたぞ、
瞬間移動が得意になりましたな白音様。
また、いつもよりもむすっとされて……どうかなさいましたかな?」
すっと現れた白音に驚くと言いながら、落ちついたように椅子に腰掛ける一人の老人。
先ほどの多くの本が並べられた部屋とは違い、
ほとんど何もないシンプルな大きな部屋にやってきた。
「だって、アナリバ老師……みんな姫、姫、ってそればかり、カシベルだって姫って呼ぶのよ。
なんだか、嫌になってしまったんだもの」
怒ったような、悲しいような顔をする白音。
「白音様?いつもの事ではありませんか?皆が白音様を姫と呼ぶのは、
白薔薇の一族に生まれてから、
ずっとずっとそうではありませんか。」
椅子から立ち上がり、杖をつく。
「わかっているわ、
さっき古い本を読んだのよ、何故か、私達の世界が過去の世界と書かれていた。
この世界に魔法が出来たということが書かれた本。
だから、もしも、魔法がなかったら私だって普通の人と変わらない生活が…………
なんてね、少し今の生活が飽きただけよ。」