白薔薇と黒薔薇
大きな広間、そこに何人かの杖を持っているものと、剣を持つものが、交互に並ぶ。
彼らは円になり真ん中あたりに何やら魔法を唱え始めた。
「マハブリード王の城はここからとても遠いですからね、
白音の転送魔法だけではいけないでしょう。
さぁ、白音行ってらっしゃい。
くれぐれも粗相のないようにね。」
白音の手をぎゅっと握り、優しい笑みを浮かべる。
けれどもその瞳は不安で揺れていた。
「お母様、心配しないで。
みんなもいるし………
何よりも私は楽しみなの!
行ってきます!」
嬉しそうな顔をして、白百合の手を握り返した。