白薔薇と黒薔薇
俯く白音。
これがこの世界の現実だと受け止めたくない自分がいる。
貧困、格差、どれも白薔薇が正しく道びかなくてはいけないものなのに、
それが出来ていない自分がもどかしい。
大きな会場には様々な人々が話をしているのが聞こえる。
白薔薇一族の姫が宮廷から出て来た事の無い為、ほとんどの人が白音の存在を知らない。
おそらく多くの者が、気がついていない。白音がどれだけ高貴な者か。
遠くの方には沢山の人々に囲まれてテーブルに用意された料理を頬張るマハブリードの姿。
「カシベル、雪子。私は少し夜風に当たって来ます。
少し考えたいの。」