白薔薇と黒薔薇


あまりにも悲しい真実。
白音にとって知らなかった事実、

人殺しなんて、黒夢の兄様は、一体どんな気持ちで毎日を過ごしてきたのか……

本当になに一つ知らなかった

ずっとずっと宮廷内で縛られ続けて、嫌気がさしていて、

でも、私が暮らしてきた宮廷はいつも明るくて、あったかくて、それが当たり前だと思っていて、


優白兄様が亡くなった時本当に悲しかった。体の一部が無くなったみたいに。


でも、私の知らないこの世界にはそれが常に誰かの身に起こってる。


黒夢はどんな気持ちで使命の事考えていたのだろう

人殺しなんて、人が死ぬ事が辛い事なのはわかっているだろうに
どんな気持ちで毎日を過ごしてきたのか、


白薔薇は何をすることが出来たのかしら
私は人々に何が出来るのかしら



「わがままなんかじゃないよ。

私は何も出来ずにお気楽に暮らしてた。
考えた事なかったの兄様が亡くなるまで世界の事なんて、

どうなっているかなんて………」


ギュッと黒夢を抱きしめた。
宝物を抱くように優しく。


「どうしたらいいのかなんてわからないわ。

だから私は沢山考える。
少しでもみんなの事考えたい、今まで考えていなかった分まで………」



そう言って優しく微笑んだ。


「やっぱり白音はすごい人よ………」


ポロポロと涙を流す黒夢。
その表情は月明かりのような優しい暖かさがあった。
< 77 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop