白薔薇と黒薔薇
あまりにも悲しい真実。
白音にとって知らなかった事実、
人殺しなんて、黒夢の兄様は、一体どんな気持ちで毎日を過ごしてきたのか……
本当になに一つ知らなかった
ずっとずっと宮廷内で縛られ続けて、嫌気がさしていて、
でも、私が暮らしてきた宮廷はいつも明るくて、あったかくて、それが当たり前だと思っていて、
優白兄様が亡くなった時本当に悲しかった。体の一部が無くなったみたいに。
でも、私の知らないこの世界にはそれが常に誰かの身に起こってる。
黒夢はどんな気持ちで使命の事考えていたのだろう
人殺しなんて、人が死ぬ事が辛い事なのはわかっているだろうに
どんな気持ちで毎日を過ごしてきたのか、
白薔薇は何をすることが出来たのかしら
私は人々に何が出来るのかしら
「わがままなんかじゃないよ。
私は何も出来ずにお気楽に暮らしてた。
考えた事なかったの兄様が亡くなるまで世界の事なんて、
どうなっているかなんて………」
ギュッと黒夢を抱きしめた。
宝物を抱くように優しく。
「どうしたらいいのかなんてわからないわ。
だから私は沢山考える。
少しでもみんなの事考えたい、今まで考えていなかった分まで………」
そう言って優しく微笑んだ。
「やっぱり白音はすごい人よ………」
ポロポロと涙を流す黒夢。
その表情は月明かりのような優しい暖かさがあった。