白薔薇と黒薔薇
にっこり微笑んで、くるりと指を回した。2人の座るソファーの前にあるテーブルにコップが二つ現れた。

中には湯気の立つホットココアが入っている。

体が冷えてはいけないからねといってまた微笑んだ。


「初代の王がなんで魔法なんて生み出したのかは……

今を遡ること2000年以上も前のことだ。

白音も、黒夢も読んだんじゃないかな、【魔法伝〜始まりの王〜】を、

あの本の通り、この世界は別の世界と同じように魔法なんてなかったんだ。

けれど、初代の王がこの世界の統一目前といったところで、

世界が壊れはじめた。」



「壊れ………る?」


不思議そうに尋ねる白音。黒夢も同じような気持ちなのだろう。

まっすぐな金色の瞳が話を続ける。


「ぁあ、壊れはじめたんだ……
急に火山が噴火したり地震が頻繁に起きたりと、

世界が狂いはじめていたんだ。

それをなんとかしようとしたのは初代の王だった。

世界を統一した初代の王はどうすればいいのか考えたんだ。


そこで知ったんだ。


この世界を救う方法を。」



「それが禁忌であった白と黒を分けるということですか?

分けたことにより世界を救った…?」



「白と黒を分けたことにより魔法が出来た
人々が魔力を持つようになり、天候を自由に操り、火山の噴火や地震も

魔法が出来たことにより世界を救ったんだよ。」
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