君が見た秋の空
夕陽の光が教室を照らすーーー
「もう少しで日が落ちるし帰ろうか?」
黙々と確認作業する義之…
響子が、更に喋る。
「そろそろ見回りの先生も来ると思うし。」
やっと反応する義之。
「そうだね。」
「もう殆ど終わっているしね。」
少し静寂の時が訪れる…
帰り支度を始める義之。
「…ねぇ義君一つ聞いても良い?」
「ん?何だよ?」
「義君、高本さんの事好きでしょ?」
「へ?何で?」
予期せぬ言葉に驚く義之…
思わず心の中で「お前だよ!」と叫ぶが冷静を装い口を開く。
「確かに彼女は美人と思うが・・・」
「あれぇ~?違ったか~。」
「絶対そうだと思ったのに〜」
…
……
………
少し呆れた表情の義之。
「一体何を根拠にそう思ったのかわからんが、そういうお前はどうなんだよ?」
義之は、周りの噂で響子の好きな人の事を知っている。
それなのに、わざと知らぬ顔で聞いた。
急に自分の話題に振られた響子は、少し動揺し、頭で想像してしまったのか、赤面してしまう。
少し間を空ける響子…
そして、響子は少し笑みを浮かべながら言った。
「私は義君の事が好きだよ!」