君が見た秋の空
夕日を見ていると、優しく温かい響子の事が頭に浮かんでくる。



いつ死ぬかわからない・・・
今日かもしれない・・
明日かもしれない・・・



だったら、出来るだけ好きな人と時間を共有したいと考えるようになった。



でも、いつ死ぬかわからない人間に告白される響子の気持ちを考えると、胸が締め付けられた。



響子からしてみれば、仮に付き合うにしろ、フるにしろ辛い選択になる事はわかっていたからだ。



響子は優しいから悩むだろうな…
たとえ恋愛感情がなくても、俺に気を使って付き合ってくれそうだ…


それでいいのか?
そんな気を使われるならフラれた方が…



義之は、思い悩むと空を見る癖がついた。


大きな空を見ていると、自分の悩みや存在が、ちっぽけに見え心が落ち着くからだ。


いつの間にか、空を見る場所を探すのが、趣味みたいになった。



そのうち、こういうシチュエーションでは、此所から空を見るという拘りが出来てきた。
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