君が見た秋の空
引越しの当日は、春休みの初日だった。


最後に、出張で不在だった野球部の顧問に、挨拶をするべく義之は学校に来ていた。



「短い間でしたがお世話になりました」



顧問の先生は、義之の病気を知っているので激励の言葉を言う。



「頑張れよ!」
「はい!」


固い握手を交わし別れる。



そう言えば、心配ばかりされて励まされたのは初めてだな〜と思いつつ帰路に向かう。



まだ肌寒いが清々しい風が流れる。
あと1ヶ月ちょいすればここも桜満開で綺麗なんだよな・・・


此処の風景を見るのも、今日で最後か・・・


そんな思いにふけながら一歩一歩かみ締めながら歩き校門に向った。



あそこを抜ければ、もうこの学校に来る事ないのか・・・


と、思っていた義之に、信じられない光景が目に留まった。
< 64 / 100 >

この作品をシェア

pagetop