君が見た秋の空
たまに空を見上げては、仙台にいた頃の楽しい思い出を振り返る。



現実から逃げていた。



何の改善を出来ぬまま溝が深くなる。
気がつけば、夏休みになっていた。



夏休みになると、義之は病院に検査入院する事になっていた。



検査とはいえ、脳の血液の流れとかを調べる為、体の一部を切ったりする。



部分麻酔が切れたら、どのくらい痛いのだろうか・・・



そんな恐怖があった。



病室に入ると相部屋という事に気付く。



丁度、相部屋の人が検査でいなかった。



暫くすると、検査を終え戻ってきた。



彼は、車椅子に乗っていた。


大学病院ということもあり、しっかり病状に応じて病室が分かれている。



義之と同じ部屋という事は、当然彼も脳の病気だった。


彼は、義之より3歳年上だった。


初めて病院に入院する義之の面倒を見てくれた。彼の名前は、建と言った。
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