君が見た秋の空
瞬は、放射線治療の副作用で、髪が抜け落ちていた。



見た目で、何かの障害を持っているのがわかる子だったが、ここでは珍しい事では無い。



特別小児病等というだけあって、難病の子供が多い病棟。



夏休みと同じく1週間という短い相部屋生活が始まる。


瞬は、年下であったが、入院経験の少ない義之の面倒を見ていた。



明るくしっかりしている瞬に、年下というより同級生みたいな感じで接していた。



瞬には、将来の夢があった。


大勢の友達と校庭でドッチボールする事だ。



健常者なら、夢と言えるレベルではない。普通の学校生活である。


だが長く入院している瞬にとっては、憧れる夢である。


そして、大きくなったら自分の様な子供を治せるドクターになるんだ!と既に英語の勉強を始めていた。


「1人の時間が一杯あるから勉強ばかりしているよ」


と、笑いながら言う瞬。



入院中は、テレビばっかり見ている義之とは雲泥の差であった。



義之は、恥ずかしくなった。
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