君が見た秋の空
監督は、現役時代に甲子園出場経験があるなど、ただの弱小チームではなく、本気で甲子園を目指すチームだった。



ただ、才能に恵まれた選手は少なく、練習量でカバーするチームだった。



毎年、30人ぐらい入部するが1年後には半分ぐらいになるのが恒例の厳しい練習の日々・・・。



部活が休みの日は年間でも20日ぐらいで、野球漬けの日々を送る。



度重なる故障などで挫けそうになる時もあったが、瞬への思いが何度も義之を立ち上がらせた。




結局、夢のプロ野球選手になる事は出来なかったが、高校野球で燃え尽きる事が出来た。



引退の時に、入部当初の体力のなさに直ぐに辞めると思っていた監督が、労いの言葉をかけてくれて、号泣したのは良い思い出になった。



大学生になり、バイトをし始めた義之は、仙台の頃の友人と会いたくなった。



勿論、いの一番に会いたかったのは響子だった。



高校は野球漬けで恋愛なんて考えている暇が無かったが、響子の事はずっと頭の片隅にあった。



やっぱり、まだあいつの事が好きだ…。
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