君が見た秋の空
中国での生活は大変だった。



言葉の違い文化の違いもあったが、特に反日感情には驚いた。


幸い義之は、体格や風貌から日本人に見られることがなく危険は少なかった。



それに、義之がいた広東省南部は、気温も高く、湿気の多い亜熱帯気候に心身ともに疲弊が激しい。



だが、どんなに辛い事があっても、病気だった頃や、瞬や響子の事を思い出し乗り切っていた。



あるプロジェクトがひと段落した頃、先輩に呑みに誘われた。



青年会と言い、中国に駐在している若手で構成されている飲み会だった。



年も比較的近い人が多いという事もあり、先輩に誘われるまま参加したが、どこか馴染めないでいた。



まだまだ中国に来たばかりの義之と、何年も駐在している人達では、話が噛み合わない部分があった。
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