ふたりのガーディアン
「渋谷?」


後ろから女の人の声がする。


振り返ると、お財布を持った静華ちゃんが立っていた。


静華ちゃんがビックリしたような顔をして、こっちに近づいて来る。


「渋谷、この高校だったんだ」


気のせいか静華ちゃん、いつもと声のトーンが違うような…。


「甲斐。どうしてこの学校に?」


渋谷君も表情が硬い。


「あたし、神崎蒼甫と幼なじみなの。
冬休みに、優月ちゃんと瀬名君に知り合ってね。
この学校面白そうだなーって思って、それで転入したの」


静華ちゃんがさらに近づいて来る。


「っていうか、渋谷と優月ちゃんって、知り合い?」


なぜか圧倒されてしまう。


「そうだよ。友達」


渋谷君が答える。


「へぇー…。友達なんだぁー。
なんか優月ちゃんて、私の知り合いと、やたら仲いいんだね」


どうしてだろう。


なんか静華ちゃん、ちょっと怖い。


でも静華ちゃんは私の方は見ずに、ただ渋谷君だけをじっと見つめている。


「まぁー渋谷、そういうことだから。
これからよろしくね」


そう言うと、売店の方へと歩いて行った。
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