ふたりのガーディアン
いつもなら瀬名君は真っ先に私のところに来てくれるのに、何も言わずに自分の席に着いてしまった。


どうしたんだろう?


自分から話しかけに行ってみようかな?


でも。


なんだか怖い…。


急に不安になって俯いていたら、教室の前のドアがガラッと開いた。


入って来たのはさっちゃんだ。


さっちゃんは瀬名君に挨拶をして、何か話をしている。


さっちゃんと普通に話してるってことは、特に気にしなくていいのかな…。


「優月ちゃん、おはよ」


さっちゃんがにっこり笑って私の席にやって来た。


「おはよう、さっちゃん」


さっちゃんはいつも通りだ。


「瀬名君、元気だった?」


「えっ?うん、いつも通りだったけど?」


さっちゃんがきょとんとしている。


「今朝、まだ話してないの」


「えっ、そうなの?
そう言えば珍しいね。瀬名君が優月ちゃんの近くに来ないなんて」


「うん…」






結局、その日は蒼甫君と瀬名君とは目さえも合わず、話をすることは一度もなかった。


どうしたんだろう。


私、嫌われちゃったのかな?


でも、急にどうして?


昨日まで普通に話していたのに…。


モヤモヤする。


イヤだ、こんなの…。


避けているなら、その理由を聞きたい。


私が悪いことをしたんだったら、きちんと謝りたいのに。
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