ふたりのガーディアン
午後のホームルームが終わると、早速斉藤君がさっちゃんを迎えに来ていた。


彼氏さんの登場に、さっちゃんは慌てて荷物をカバンに詰めている。


「じゃあ私、斉藤君と帰るから。みんなまた明日ねーっ」


さっちゃんは今まで見たこともないような嬉しそうな顔で、斉藤君の元へ走って行った。


ふふっ。さっちゃん可愛いな。


「俺らも帰りますか」


「だね」


私と蒼甫君と瀬名君も、教室を後にした。


校舎を出ると、中庭の芝生が落ち葉でびっしり埋め尽くされていた。


黄金色の絨毯が、歩くたびにサクサクと音を立てる。


私達の間を吹き抜ける風が少し冷たい。


もうすぐ秋も終わるんだね。


「じゃ、ここで」


自転車で通学している瀬名君が、自転車置き場の前で足を止める。


瀬名君はポケットから自転車の鍵を取り出すと。


「優月、バイト頑張れよ」


綺麗に微笑みながら、手を振った。
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