ふたりのガーディアン
歩いて5分もしない場所に海があるなんて、なんて素晴らしい環境なんだろうと思ってしまう。


雨が降った後なので、砂浜を歩くとサンダルがジャリジャリと音を立てた。


台風の影響からか、風が強く、波が高い。


厚い雲で覆われていた空が、次第に美しい青に塗り替えられていく。


私は手さげカバンからデジカメを取り出し、空の写真を撮った。


「あれ?優月、デジカメなんて持って来てたのか?」


「うん。
ピッキングのバイトに来てた時から思ってたの。
この辺りの海を撮りたいなって。
でもなかなか機会がなくて、やっと撮れるよ」


「確かにこの辺りの海は綺麗だよな」


「うん。って蒼甫君、その手どうしたの?」


蒼甫君の手は、なぜか砂だらけになってる。


どうやら砂遊びをしていたみたいだ。


「え?これって亀?」


「そうだよ。なかなかリアルでうまいだろ?」


本当だ。うまいな。


私は蒼甫君が砂で作った亀をカメラで撮った。


亀の隣を見ると、瀬名君が砂浜に何か絵を描いている。


「これって…。あーっ、わかった!

蒼甫君でしょ?」


「すげーっ。優月。よくわかったね」


「ここっ!この目でわかった」


蒼甫君が目を細めて笑った時の顔だ。


私はこれもカメラに収めた。
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