ふたりのガーディアン
次の日も、薫さんは海の家に姿を現した。


このあたりに数日滞在しているらしいから、また来るかもしれないと瀬名君が言っていたけど、本当だった。


瀬名君は、薫さんがお店に来ても、全く気づかないフリをしていた。


私と蒼甫君は、気になってしかたがなかったけれど。


それにしても薫さんって、すごく色っぽい。


あんな美人と付き合ってた瀬名君って、ある意味すごいかもしれない。


瀬名君は当時中学生だったとはいえ、きっと今と同様にかっこよかったんだと思うし。


この二人ってすごくお似合いだったのかもしれない。




その日の16:30頃、私はゴミ拾いをしながら砂浜を歩いていた。


実はこれも立派な海の家の仕事だったりする。


空き缶やペットボトル。


唐揚げが入っていた袋やら、カキ氷の入れ物など。


結構、やっちゃんのお店から出たゴミが落ちている。


腰が痛くなって、ぐっと上半身をのけぞる。


ふと海の方を見ると、視線の先に綺麗な女の人が一人で砂浜に座っている姿が見えた。


ウェーブの長い髪が風に揺れて、なんだかとっても絵になっている。


あっ、あれは薫さんだ。


でも、あれ…?


もしかして、泣いてる?


「あっ、あなたは…」


うっ、気づかれちゃった。


「海の家で、裕樹と一緒にバイトしてる子よね?」


「……はい」


近くで見ると、本当に綺麗な人だな。


女性なのに、なんだかドキドキする。
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