ふたりのガーディアン
「ちょっとだけ、話せないかしら?」


「えっ?」


薫さんが綺麗に笑って、私に手招きをする。


な、なんだろう。


緊張しちゃうな。


「あの。バイト中なので、少しだけなら」


私はドキドキしながら、薫さんの隣に座った。


「ありがとう」


そう言うと、薫さんは静かに話し始めた。


「私、昨日からここの近くのペンションに友達と滞在してるの。

まさかこんなところで裕樹に会えるとは思わなかったわ。

私と裕樹ね、以前付き合ってたの」


「あ…はい。瀬名君から聞きました。

やり直そうっておっしゃったとか」


「ええ。言ったわ」


「あの…今頃になってそんな事を言うなら、どうして突然瀬名君の前から消えてしまったんですか?

瀬名君、あなたを必死で探したけど見つからなくて、ひどく傷ついたそうですよ」


薫さんは遠くを見つめてため息をついた。


「裕樹には申し訳ないことをしたと思ってる。

でもあの時はね、そうするしかなかったの。

だけど、すっごく後悔したの。

私は裕樹の事、本気で好きだった。

今でも…」


目に涙を浮かべる薫さん。


薫さんは、瀬名君の事をずっと思っていたの…?

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