ふたりのガーディアン

モデルの仕事

中間試験も無事に終わり、いよいよ文化祭の準備が始まった。


ウチのクラスの出し物は、女装した男子がもてなすメイドカフェを開くことになった。


他のクラスもやりそうなのに、意外にどこともかぶらなかった。


誰が女装するかはクラスの投票で5名が決められ、当然の事ながら、蒼甫君と瀬名君は選ばれてしまった。


もちろん、小さい顔の渋谷君も。


クラスが文化祭準備で忙しくなり始め、私もバタバタと動き回っていたら、携帯にメールの着信が入った。


誰かな?と思ったら、イチャさんだった。


『今日のバイト、蒼甫を連れて来てちょうだい』


「えっ、またですか?」


う~、嫌な予感がする…。





放課後、私と蒼甫君はイチャさんの事務所へ向かっていた。


「ごめんね。蒼甫君」


「俺は別にいいよ。優月とデート出来るし」


イチャさんの話なんて、きっとロクな事じゃないに決まってる。


戦隊ヒーローのオーディションは、結局なんの連絡も来なかったんだし、もういい加減蒼甫君を解放して欲しいのに…。


「おはようございます」


事務所のドアを開ける。


「おはよう、二人とも。蒼甫、よく来たわね」


「こんにちは。あれ?今日は守屋さんもいるんスね」


わっ、本当だ。


珍しい。
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