ふたりのガーディアン
『ちょっとポージングの練習をしておいた方がいいかもね』


イチャさんにそう言われ、蒼甫君と私は休日に、モデルにウォーキングとポージング指導をしている先生を訪ねた。


女の先生なんだけど、すごく厳しくて、さすがの蒼甫君も途中から笑顔が消えていった。


でも蒼甫君は持ち前の運動神経の良さで、レッスンが終わる頃には、すっかりモデルさんらしく仕上がっていた。


先生もなかなか見込みがあると褒めてくださってた。


私と蒼甫君は学校の昼休みのたびに、こっそり屋上でポージングの練習をした。


先生に教わったとはいえ、いざ私がデジカメを向けると、どうしてもポーズがワンパターンになってしまう。


撮った画像を確認しても、やはり同じようなポーズばかり。


だから、色んなポージングが出来るように、雑誌を沢山買い込んで、参考にしたりもした。


モデルって見た目以上に大変な仕事なんだなと、私も蒼甫君も感じていた。


蒼甫君って、負けず嫌いなのかもしれない。


だからこそ、サーフィンのコンテストにも入賞するんだと思う。


今回だって、もしかしたら瀬名君に負けたくないのかもしれない。


屋上でのポージング練習なんて、知らない人が見たら笑うかもしれないのに。


それでも真剣な顔で練習する蒼甫君を見て、私はすごいなと本当に心の底から思ったのだった。
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