ふたりのガーディアン
「全然気づかなかった…。俺、スタッフさんって、そんなにまじまじ顔とか見ないから」


「驚かせてごめんね」


「マジで驚いたよ…」


私と瀬名君のやり取りを見ながら、蒼甫君がクスクスと笑っている。


絶対に面白がってるよね…。


「おい、裕樹。知り合いなのか?」


突然誰かの声がして、私はビクッと肩を震わせた。


すると、瀬名君の後ろからひょこっと顔を出す男性が…。


コズミックのモデルのヨウヘイさんだ。


ヨウヘイさんはこの三人の中で一番背が高い。


銀色の髪がすごく綺麗だ。


「あぁ。偶然なんだけど、同じ高校で…」


「へぇ、裕樹と同じ高校なんだ。そんな事もあるんだな」


そう言って笑うヨウヘイさんは、どことなく妖艶で、思わず目を奪われてしまう。


「…で、こちらの方は?」


そう言って私をチラリと見るヨウヘイさん。


私はビックリして、慌てて姿勢を正した。


「あ、あの。私、神崎蒼甫の付き人をさせていただいております竹内と申します」


ぺこりと頭を下げると、一気に変な汗が噴き出して来た。


「付き人…?」


ヨウヘイさんの顔が歪んでいる。


瀬名君の顔も、明らかに引き攣っているのがよくわかる。


「俺らとキャリアがそんなに変わらないって聞いてたんだけど、キミの事務所って新人のうちから付き人とか付けるんだ?すごいね」


私は返す言葉が無かった。


「付き人さん、やけに若い気がするんですけど、おいくつなんですか?」


「じゅ…19です…」


「俺より一つ年上なんですね。じゃあ高校を出てから、この世界に来られたんですねー」


「あ、はい…」


「ヨウヘイ、そろそろ休憩終わるし、行こう」


ヨウヘイさんの肩をポンと叩く瀬名君。


「あ?あぁ…」


そう言うと二人は、撮影スタッフさん達の方へ向かった。


瀬名君、気を遣ってヨウヘイさんを連れて行ってくれたのかな?


ごめんね…。
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