ふたりのガーディアン
次の日、私と蒼甫君と瀬名君は屋上に来ていた。


季節はすっかり秋になっていて、空が青く澄んで、風がとても心地良い。


こうして三人で一緒にいるのは久しぶりだ。


あの夏以来かもしれない。


「それにしても、あれはないよな」


突然、瀬名君が口を開いた。


「なにが?」


そう言って、コテンと首を傾げる蒼甫君。


「優月が蒼甫の付き人って無理あり過ぎ」


うっ、そうだよね。


あれはかなり不自然だったよね。


えぇ、えぇ。わかっていますよ。


「だって俺、優月と一緒に行きたかったから」


蒼甫君は悪びれた様子なんて微塵もないみたいだ。


「はは…。お前、仕事ナメてんな」


はい、瀬名君。


言い返す言葉もございません…。


「だいたいなー。俺がモデルの仕事を引き受けたのは、お前がその仕事やるって聞いたからなんだぞ」


「えっ?」


「9月だったかな。俺と優月、たまたま瀬名が出てる雑誌を見ちゃったんだよ。何も聞いてなかったから、結構ショックだった」


瀬名君は、フェンスにもたれて足元を見つめている。


瀬名君は深く息を吐くと、静かに話し始めた。
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