ふたりのガーディアン
夏休みに海の家で薫に再会して、アイツの口から衝撃の真実を聞かされて。


それで俺は、大学を辞めて田舎に帰ろうとしていた薫を引き止めた。


俺の説得に田舎に帰る事を踏み留まってくれたのはいいんだけど、大学を辞めた薫がこっちで就職するって、結構大変な事だったんだ。


一人暮らしで食べていくには、それなりに収入がいるだろ?


アイツ頭は良いけど、企業に就職しようにも扱いが高卒になってしまうし、なかなかコレっていう良い就職先が見つからなかったんだ。


そんな時に薫が、大学時代のサークルの先輩と久しぶりに会って飲んだらしいんだ。


その先輩ってのが、この前蒼甫達も会った鈴木って社長。


あの人は大学在学中に、すでにコズミックを立ち上げていたんだ。


薫が困ってるって聞いて、一緒に仕事しないかって声をかけてくれたらしい。


薫はすごく喜んでいたし、無事に就職先が決まったことに俺もホッとしていた。


だけど実際就職してみたら、業績がさほど良くなくて、困った状態だったらしいんだ。


どうしたら業績が上がるのかって聞いたら、主力になるモデルが欲しいって言われたらしくて。


自分に声をかけてくれた先輩の期待に応えたいし、どうにかしたいって思った薫が、俺に頭を下げて来たんだ…。


モデルになってくれないかって。


考えてもみたら、アイツの人生狂わせたのは俺だろ?


アイツが大学を辞めたのも俺のせいだ。


だから俺、薫の力になってやろうってそう思って…。


それでモデルの仕事を始めたんだ。
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