ふたりのガーディアン
午前中はそれはもうものすごい数のお客さんで、廊下に並んで待つお客さんさえいたほどだった。


でもお昼過ぎになると、体育館でイベントが行われるのもあって、客足がまばらになってきた。


「ちょっと休憩しよーぜ」


蒼甫君が足を広げて椅子にドカッと座る。


あのー。格好は女の子なんだから、その足はどうにかしてほしいな。


「確かに疲れたよなー」


「瀬名君、コーヒー飲む?」


「あぁ。頼む」


「優月ちゃ~ん、あたしはココアね」


「……。かしこまりました、蒼甫君」


大きな段ボールを立て掛けただけのスタッフ専用のスペースで、私達はしばし休憩をとった。


カフェのオープンは14時までだから、あと少しの辛抱だ。


その時だった。


「さっきの人見たー?」


「見た見た!すごくかっこいいー」


「何歳くらいなんだろうね?大学生かな?」


「むちゃくちゃセンスいいし、芸能人かと思ったよねー」


クラスの女の子達の騒ぐ声が聞こえる。


どうしたんだろう?


「ちょっとー!もしかして、ここに来るんじゃない?」


「本当だ。こっちに向かって歩いて来てるよー。どうするー?」


誰か来てるの?


「なんか大騒ぎだな」


蒼甫君が目をぱちくりさせる。


「こっち来るとか言ってるけど…」


瀬名君も訝しそうに眉間にシワを寄せる。


「キャーーーッ!」


なに?この黄色い歓声は!


私達は段ボールの隙間から、チラッと様子を覗いてみた。


「うっ」


あの身長!


あの髪の色!


あれは…!




「ヨウヘイだっ」

< 362 / 932 >

この作品をシェア

pagetop