ふたりのガーディアン
え…?


今、なんて…?


「クリスマスの前くらいかな。

ハッキリさせたのが12月ってだけで、本当はもうとっくの前に終わってた」


うそ…でしょ?


「なんかお互い、前のようにはなれなくて。全然、違ってて…」


「そ、それなのにモデルの仕事、続けるの…?」


瀬名君はふうとため息をつく。


「それはそれ。これはこれ…だよ。

過去に俺がアイツにしたことは事実だから、それを消すことは出来ない。

どんな形であれ、罪は償わないと…」


私はゴクンと息を飲んだ。


「ね、ねぇ。瀬名君。薫さんの話って真実なの…?」


「え…?」


「彼女が妊娠してたっていうのは、本当に事実なの…?」


「優月…?」


「疑ってみたことはないの?」


瀬名君が首を傾げる。


「疑ったことはないよ。

あの時、薫が消えた理由は、そうだったんだろうって思ってる…」


私は、瀬名君に少し近づいた。


「もし。もしも。本当はそうじゃなかったら…?」


「え…?」


「もし、瀬名君の前から消えた理由がそうじゃなかったら…?」


「ど、どうしたんだよ。優月」


「あ、あのね…。実は…」


その時だった。


『青雲高校の生徒の皆さんは、お時間が来ましたので、ロッジへお集まりください』


放送が鳴り響く。


もう帰る時間だ…。


「優月…」


「瀬名君…、また。また今度、話そう」


瀬名君が、複雑そうに私を見ている。


「……わかった…」


そう言うと、二人でコースを滑って降りた。
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