ふたりのガーディアン
「ねぇ、優月。ひとつだけ聞いていい?」


「ん…?」


「もし…、もしさ。あの夏、薫が現れてなかったら」


え…?


「優月は俺と蒼甫、どっちを選んでた?」


元気がないはずの彼の瞳だけが、力を持って私を見つめる。


心臓がドクンと跳ね上がる。


ど、どうしてそんなこと聞くの?


どうして?


「そ…んなこと聞いてどうするの?

瀬名君だって言ってたでしょ?

こうなる運命だったって…。

もしこうだったら…なんて、そんな選択肢はなかったって…」


瀬名君がふっと息を吐く。


「そうだな。確かに俺、そう言ったよな。でも…」


瀬名君が私をじっと見つめる。


「それでも聞きたい…。

どっちを選んでたか…」


そんな目で見ないで。


そんな悲しそうに見ないで。


どうしていいか、わからなくなるから…。


膝に乗せている手が震える。


思わず下を向いたその時だった。





「優月はどっちも選んでねぇよ」



えっ?


こ、この声!
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