ふたりのガーディアン
「瀬名君が、これ以上やつれていくのを見たくないの。

私、瀬名君が心配なの。

どうしても心配なの。

ほうっておけない。

でも、でも好きなのは蒼甫君だよっ。

気持ちも揺れたりなんかしないから。

信じて…」


「……っ」


蒼甫君の顔が歪む。


こんなつらそうな顔をさせてるのは私だけど、言わずにはいられなかった。


「優月…。無理だよ。

もう無理なんだ。

前みたいになんて、戻れない。

だって瀬名は…。

瀬名は優月が好きだから…」


痛い…。


胸がズキズキする…。


どうしてこんなに痛いの?


「蒼甫…、違うよ。俺はもう」


「ウソつくなよ!好きなくせに」


ふと見ると、瀬名君は身体を起こしていた。


「好きなんだろ?優月が…」


蒼甫君が瀬名君をじっと見ている。


答えないで…。


そんな勝手な言葉が脳裏に浮かぶ。


だけど、それは放たれてしまった。




「あぁ、好きだよ」
< 497 / 932 >

この作品をシェア

pagetop