ふたりのガーディアン
「裕樹が好きな子って、優月ちゃんなんじゃない?」


真っ直ぐに見つめられて、動けなくなる。


どう答えたらいいのか。


これは、責められているのだろうか。


薫さんの顔が少し曇る。


怖い…。


指がかすかに震えてしまう。


「優月?」


少し低めの掠れた声。


ゆっくりと視線を向けると。


「瀬名君…」


瀬名君が、いつの間にか私達のそばまで来ていた。


「樋口さん。ここで何してるんですか?」


瀬名君の表情は硬い。


「久しぶりに優月ちゃんに会ったから、話してたの。
だって、去年の夏以来なんだもの」


そう言って、にっこり笑う薫さん。


「打ち合わせはすんだの?」


「はい。終わりました」


「じゃあ、気をつけて帰ってね。お疲れ様。
優月ちゃんも。また会いましょう」


「あ、はい。シュークリームご馳走様でした」


私がそう言うと、薫さんはにっこり笑って、カツカツとヒールを鳴らし、エレベーターへと乗り込んだ。






私は見てしまった…。



扉が閉まる直前。



振り返った薫さんが。



私を冷ややかに見つめる瞳を…。
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