ふたりのガーディアン

お日様のような人

しばらく瀬名君と登下校していた私だけど、あの一件以来何もなくて。


瀬名君との登下校は帰りだけになり、しかも学校から駅までということになった。


進学校なのが幸いしてか、受験ムードが日に日に強くなっていて、みんなさほど蒼甫君のことを話題にしなくなっていた。


だから蒼甫君は、また以前のように1日に1度は、私に会いに1組まで来てくれるようになった。


蒼甫君は相変わらず、私の席の前に座る。


ふたりで静かに会話をしていたその時。


蒼甫君の足元にシャーペンが転がって来た。


それを拾いあげる蒼甫君。


持ち主は同じクラスの女の子だ。


女の子が戸惑いながら、近づいて来る。


「はい」


笑顔で差し出す蒼甫君に、顔を真っ赤にする女の子。


「あ、ありがとう」


その子は蒼甫君からシャーペンを受け取った。


「あ、ねぇ。そのシャーペンの絵って、九州限定のやつじゃない?」


何を思ったか、蒼甫君が急に女の子に尋ねた。


「え?あ、うん。そうだよ。おばあちゃん家が九州だから、そこで買ったの」


「可愛いよね。ちょっともう一回見せて」


「いいよ」


蒼甫君がシャーペンの絵をじっと見つめる。


「可愛いね。なんか癒されるよな。他には持ってないの?」


「あるよ。お弁当の袋がそうなの」


「良かったら見せてくれない?」


「うんっ。いいよ。ちょっと待ってて」


えっ?


蒼甫君、急にどうしちゃったの?

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