ふたりのガーディアン
渋谷君の言葉に、蒼甫君と瀬名君の動きがピタリと止まる。


やだ。


そんな顔しないで。


だから、知られたくなかったのに…。


「お前ら知らなかったのか?

ホントに気づかなかったのか?

竹内が一人で苦しんでたこと」


「渋谷君、もういいからっ」


私は渋谷君の腕を引っ張った。


「よくないっ」


怒りを含んだ渋谷君の声が中庭に響き渡る。


その声に怯んで、私は掴んだ腕をそっと離した。


「お前ら少しの間、竹内と離れろよ。

そうしないとまたこんなことが起きるだろ?

心配ないよ。

その間俺が…。

俺が竹内のそばについてるから」


渋谷君がこんなに真剣に言ってくれるのはすごく嬉しい。


嬉しいけど。


でも…。


「どうすることが一番竹内のためになるのか、よく考えてくれよ。

俺はいつでも竹内のそばにいる準備は出来てるから」


そう言うと、渋谷君は校舎の方へ行ってしまった。


蒼甫君も瀬名君も、ただ黙ったまま私を見ていて。


その視線が苦しくて、私はうつむいて立っているのが精一杯だった。
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