ふたりのガーディアン
「向こうで少し話そう。ここは寒いし」


蒼甫君はそう言うと、陽が差し込むベンチへと歩き出した。


瀬名君と私も、蒼甫君の後に続く。


瀬名君と蒼甫君が先に座ると、私は蒼甫君と少し距離を置いて座った。


誰も口を開くことなく、中庭を眺める。


ちょうどお昼時なのもあって、中庭で食事をする学生も大勢いるようだ。


「気づいてやれなくてごめん」


瀬名君が静かな口調で言った。


「さっちゃんは斉藤と付き合い始めたし、余計に優月に矛先が向いたんだな」


蒼甫君が小さなため息を漏らす。


「優月はどうしたい…?」


二人に同時に見つめられて、思わず目を逸らした。


「私は…」


ぐっと指に力が入る。


どう言えばいいか、言葉に詰まる。


二人とは今まで通り一緒にいたいけど…。

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