ふたりのガーディアン
「仮に、その妊娠話が本当だったとして…」


「何それ?事実よ」


「……。事実だったとして。

どうしてその事で瀬名君を縛るんですか?

瀬名君のことが好きだったんですよね?

本当に好きなら、相手を縛り付けるんじゃなくて、その人の幸せを一番に考えませんか?」


だって…。


それが、好きってことだもの。


少なくとも、私はそう思う。


「モデルをやることが、瀬名君にとっての幸せじゃないんです。

瀬名君は、他にやりたいことがあるんです。

瀬名君のことが好きなら、どうか瀬名君のやりたいことをさせてあげてください。

お願いします」


私がそう言うと、薫さんは下唇を強く噛み締めた。


「裕樹は手放さないわ。絶対に……」


薫さんは目に怒りの涙を溜めている。
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