ふたりのガーディアン
私達は、しばらく黙って川の景色と、次第に明るくなっていく遠くの夜景を眺めていた。


ふと瀬名君の方に顔を向けると、瀬名君の顔に夜景の灯かりがほんのり照らされていた。


私が見ていると、すぐに私の視線に気づく瀬名君。


目をそらす事も出来ず、互いにじっと見つめ合った。


瀬名君の綺麗な顔に、ドキドキしてしまう。


「優月…、寒い?」


「えっ、あ、うん。ちょっと」


「もうちょっとこっちにおいで。

俺のダウンあったかいんだ。

入れてあげる」


私は戸惑いながら、瀬名君のそばに寄った。


すると瀬名君が、私にそっとダウンをかけてくれた。


「わ、ホントだ。あったかい。

ずるいなー、こんなの着てるなんて」


「ははっ。何言ってんだよー」


「だってこんなに軽いのに、こんなにあったかいなんて…」


「まぁ、バイクに乗ったりするからな。優月は薄着だね」


「そうだね。このコート、あんまりあったかくないかも…」


「いいよ。しばらく一緒に入ってな」


「うん…」
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